コラム

2017.05.10

壬生六斎の旅:音羽山清水寺

壬生六斎に所縁のある地を巡る特集「壬生六斎の旅」。
3回目となる今回は、やはり「飛観音」より、「清水寺(きよみずでら)」を訪れます。

花の都の清水観音 音羽の滝の 清きところの 観世音まへにて 札うち納める

西国三十三所観音霊場、第十六番札所ということで、第三番の粉河寺から随分飛びました。
この辺り、飛観音の“飛”が本領を発揮しだした感じです。

それにしても、どういう基準で歌に入れる札所5つを選んだのでしょうか。
京都近辺だったら、六角堂とか革堂とか入りそうなものです。
ましてや、六波羅蜜寺なんて空也上人に所縁のあるお寺だってあるわけです。
この点は、六斎念仏周りから突き詰めるのには限界がありそうなので、和讃とか、仏教学的常識とか、そういう方面からアプローチしたら何か手掛かりが掴めるかもしれないと思っています。


仁王門

さて――
写真を撮る為に、わざわざ駐輪料金を払い、わざわざ修学旅行生に揉まれ、わざわざ拝観料を払って行ってやりました。
どうも地元京都市に住んでいると、“わざわざ”という風な億劫な気になるんです。
“いつでも行ける”と思いますからね。この罰当たりめ。メッ!

しかし、そんな罰当たりは少数派で、参道の坂から境内からこの日も大変な盛況ぶりでした。
多いのはやはり外国からお越しの方。
日本人はね、お店の売り子さんと筆者だけ。
いやいや、修学旅行の小中高生がおったわ。
今でも京都へ来てくれるんですね。
やっぱり定番なんやなあ。
こうやって、日本はもとより世界中から参拝客が訪れる、やっぱり清水さんは日本の宝。
そらあの清水の舞台は、ちょっと他所で見られへんもんなあ。
一生の思い出になるわなあ。
よし、ほな見に行こか!

て、工事してるやーん!
工事中やん、一生に一度の思い出、工事中やん!


格子状の柱の上に格子状の足場を組むテクニカルな奇跡

まあでも、逆に考えてみて。
こんな大々的な工事、滅多にあるもんじゃないわけ。
ひょっとしたら、生きている内にはもう無いかもしれないわけ。
かたや、普段の姿は写真でも映像でも見られるし、ほとんどの人はそっちしか知らないわけ。
そう考えたら、工事中のこれ、超レアでしょ! レアじゃね? アレじゃね?

――ここで唐突に、壬生六斎と清水寺のエピソードを一つ。
昔、清水の舞台で「祇園ばやし」を奉納していたところ、冒頭の「からこ」という曲で太鼓を大振りしていたら、それが手からすっぽ抜けて舞台の下へ飛んで行ったことがあったそうな。
“清水の舞台から飛び降りる”とはよく言いますが、なんと太鼓が飛び降りよったんですな。
師匠曰く、「それぐらい大きな振りで、太鼓を振らなあかんねんで」ということです。
……怪我人が出なくて良かったです。

音羽の滝の横にある茶店です。
落語「はてなの茶碗」のモデルになったのはここなんでしょうか。

清水寺へは、京阪電車「清水五条」駅か、市バス・京都バス「五条坂」から歩いて行きます。
バス停からの方が近いです、15分位。京阪からだと、その倍ほど歩きます。
ただ、いずれにせよ道が入り組んでいるので初めてだと迷ってしまわれるかもしれません。
わたしも上手く説明できません。
とりあえず、大通りから山の方へ山の方へ向かってみて下さい。
自転車の場合、観光バスやらが止まる駐車場に止めて歩きます。
途中、人と急な坂が多くてしんどいのは覚悟して下さい。
車ではたどり着けません。
そもそも、京都の町を車で移動しようなんてのは自殺行為で、旅行時間の大半を車中で過ごす羽目になります。
京都は、歩きながらの発見が楽しい町です。

2017.05.05

壬生六斎の旅:風猛山粉河寺

壬生六斎に所縁のある地を巡る特集「壬生六斎の旅」。
今回は、前回に引き続き鉦講の「飛観音」より、「粉河寺(こかわでら)」を旅します。

此又 観音 粉河寺 青々青々 観世音まへにて 札うち納める

風猛山粉河寺は、西国三十三所観音霊場の第三番札所。
一番札所の青岸渡寺と同様、紀州のお寺です。

境内を散策すると、奥のお社へ続く階段の下に不思議な看板が。
「孔雀います」
なんでしょうか、この「お座敷ありマス」みたいな呼び込み方は。
そういふ伝説があるのか、はたまた名産品など売っているのか。

いやホンマにおるんかーい!
孔雀さんが飼われていました、めっさ綺麗な。
よう鳴くんです、それがまた。
“クエーッ!” みたいな、“ニャーッ!” みたいな、“マモーッ!” “ミモーッ!” みたいな。

境内の茶店でおうどんを頂きました。
その名も「風猛うどん」です。
色々のっています。
ねぎ、天かす、蒲鉾、昆布、山菜……この辺りはまだ分かる(中々一緒には入れへんけど)。
そこに、玉子焼き、玉ねぎ、ごぼ天、ひら天、こんにゃく、茸、筍、柚子……
もはや、鍋!
でも、お出汁はいわゆる関西風で、違和感のない美味しいおうどんでした。
ひょっとすると、時期によって具材が違うかも。
看板には“風猛そば”って大書してあったから、そちらの方がメインかな。
ほかに、かき氷とかおまんじゅうもありました。

粉河寺へは、JR「粉河」駅1番出口より北へ20分位、正面へ伸びる道を真っ直ぐ真っ直ぐ道なりに行きます。
電車は本数が1時間に1本と少ないので、時間に余裕を持って計画して下さい。

2017.05.03

壬生六斎の旅:那智山青岸渡寺

今回から始まります新シリーズ「壬生六斎の旅」。
壬生六斎に所縁のある地を巡ります。

初回となる今回は、「飛観音」の歌詞に出てくる寺、紀伊の「青岸渡寺(せいがんとじ)」。
先日「鉦講衆」のページを新設したこともあって、鉦講の歌より取り上げます。

那智山青岸渡寺は、西国三十三所観音霊場の第一番札所。
それ故、「飛観音」でも一番目に登場します。

紀伊國那智山観世音 ふだらく岸うつ三熊野の なちいの観世音まへにて 札うち納める

余談ですが、上鳥羽橋上では「札うち“始める”」と伝えており、より一番札所感が出ています。

ところで、札所にはそれぞれ御詠歌がありますが、その歌詞と鉦講のものとは少し似ているようです。

御詠歌
「普陀洛や 岸うつ波は三熊野の 那智の御山に ひゞく瀧津瀬」

ところどころのフレーズが重複していますね。
各名所によって決まり文句みたいなものが昔から定着していたのか、それとも伝承に何らかの関連があるのか。
ちなみに、御詠歌でも鉦を使うことがありますし、講を結んで活動しますから、その点鉦講と似ています。
しかし、旋律やパート分け、楽器演奏の比重等、一聴して印象の異なる点もあります。

「紀伊山地の霊場と参詣道」はユネスコの世界遺産に登録されており、記念碑が建っています。

お隣には、熊野那智大社があります。

三重塔です。
古くに焼失していたものを再建したそうです。
幾らか料金を払うと中を見学可能です。
内部にはエレベーターが設置されています。
後ろに見える那智の大滝とのコントラストが美しく、しばしば観光情報に掲載される構図です。

那智の大滝です。
嘘みたいに高い岸壁からの怒涛の瀑布、自然の奇跡です。
いわゆる“パワースポット”などと軽く紹介されても、今回ばかりは理由不要で納得できます。
これを拝むだけでも、ここまで来た甲斐があるというもので、古来より崇敬を集めてきたのも頷けます。

那智山青岸渡寺へは、まずJR特急くろしおに乗って「紀伊勝浦」駅へ。
それから駅前より熊野交通バスに揺られること30分程度で終点まで。
降りたら、お土産屋さんが並ぶ道路を抜けて、参道入り口から階段をテクテク登って山の上まで行きます。
雰囲気を満喫したい方は、途中のバス停、「大門坂」や「那智の滝前」から降りて歩くのもアリ。
バスは、紀伊勝浦駅前の営業所窓口で、あらかじめ往復切符を買っておくのがオススメです。
ちなみに、勝浦では港町ならではの新鮮で美味しい魚介類が味わえます。
(これを食べたと言うと、欧米の活動家が怒ってきそうな例のアレとかアレとか美味しかったです)

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