綾傘鉾の楽器

  囃子には三種の楽器を用います。すなわち、鉦、太鼓、笛です。この形はどの山鉾にも共通しています。鉦と太鼓は拍子を刻み、笛は旋律を奏でます。

 囃子方に加入した者は、まず鉦方を経験し、その後に笛、太鼓と順次習得していきます。但し、鉦が易しい楽器というわけでは決してありませんので、鉦が空いていれば笛や太鼓の出来る者も鉦に回ります。綾傘鉾では楽器の専門区分を固定していませんので、状況に応じて空いている楽器に回ることになっています。

鉦(かね)
鉦

 念仏では表側を叩きますが、囃子では裏側、すなわち凹んでいる方を使用します。俗に言う"コンチキチン"は鉦を表す擬音で、"コン"は凹みの中央、"チキ"は下の縁と上の縁の連続払い、"チン"は下の縁の払いを示します。

すりこ

 鉦を叩く(擦る)道具を"すりこ"と言います。頭の部分は鹿の角で、柄の部分は鯨の髭でできています。徒歩巡行で使用するので、他の曳山や鉾と違い、柄の端に短い組紐の付いているのが綾傘鉾のすりこの特徴です。

締太鼓(しめだいこ)
締太鼓

 打ち手から締太鼓を見た図です。右横にあるブチで打ちます。調べ緒の結びの余りをぐるぐる巻きにしてまとめている部分を"ちんぽ立て"と呼びます。

締太鼓側面

 横から見た図です。調べ緒で短胴と皮の面を締め、台に据えて使用します。棒振囃子のときは台から外して使います。

能管(のうかん)
能管

 祇園囃子のときに使用する笛が能管です。現在ほとんどの山鉾の囃子方が能管の使用に統一しています。かつては篠笛や竜笛を使う人もあったと聞いています。なお、棒振囃子のときには、綾傘では六斎同様篠笛(しのぶえ)を使っています。

 綾傘鉾の祇園囃子の演奏は、六つの甲音(かんおん。高い音)と二つの呂音(りょおん。低い音)及びヒシギ(最も高い音)で行います。これは、能管の場合と篠笛の場合とで変わりません。

稽古場
鉾宿

 囃子の稽古は、善長寺町の大原神社会所二階にて行います。鉦は、祇園囃子のときは上から吊り下げて使用しますが、棒振囃子のときは付属の組紐を首から下げて手で支えて使います。

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