その他伝承歌

概要

「飛観音」「節白舞」「終念仏」以外で、教本に載っている歌が十三首あります。全て“五・七・五・七・七”の字数から成っています。中には御詠歌と同じものもあります。字数からすると「終念仏」への挿入が可能で、実際に吉祥院南条の「焼香太鼓」には、下記の「同(善光寺) 八番」と同じ歌が入れられています。

 また、壬生六斎の「発願」が昔はもっと長かったと指摘される点から察するに、この中の歌を幾つか取り入れていたのではないかと思われます。ちなみに、他所の六斎でも、御詠歌を「発願」の前後に歌っている講があります。

歌詞
嵯峨の釋迦

阿りがたや 志やくせん段の 釋迦如来 嵯峨にたなびく むらさきの雲

奥の院

わしの峰 ふたたびかげの うすかきて 嵯峨のゝ露に 有明の月

高野山

ありがたや 高野の山の岩かげに 大師は今に おわしまします

東寺弘法大師

空海の 心の内に咲く花は みだより外に 知る人はなし

壬生寺

からだへの 御法のべて 六つの岩 心の佛の 宝なりけり

壬生寺 奥の院

ありがたや 歩みをはこぶ 壬生寺の けんあんなん ご志うごくらく

同 大奥の院

六道の ちまたをてらす 壬生寺の なを光ぞ るりの御佛

柳谷

御佛の なびく柳の 谷水を くむにおいする 薬なりけり

同 奥の院

うららかや 柳も風に なびかれて 佛の御蔭 うつる谷水

二月堂

ありがたや ふしぎは一か 二月堂 若狭の水を むかいくみとる

善光寺

身はここに 心は信濃の 善光寺 みちびき給へ みだの浄土へ

同 八番

若きとて 末をはるかと 思ふなよ 無常の風は 時をきらわず

同 十八番

ごくらくの かねのひびきに 夢さめて 五色の雲に あふぞうれしき

※各題名含め、原文まま。

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